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「社員のモチベーションを再考する」 【2010年3月号】
海外から日本を見たとき、豊かなはずの日本のこの閉塞感は何だろうと感じることがあります。その一つに「今日より明日はよくなる」という期待感がないことです。これから、7割の社員は30代から昇給がストップします。若手を除いて昇給無し、原則給与減額時代において、社員に見通しを示し、将来に期待を持たせることはとても難易度が高いのです。そこで、本当に悩ましく、私自身も日々悪戦苦闘のテーマですが、社員の動機付けの方法についての今後の方向性を述べてみたいと思います。
(いま、“モチベーションデフレ”が起こっている)
デフレとは総供給が総需要を上回っており、価格が下落することです。いまはデフレ時代ですね。マクロの経済が企業に反映され、企業存続に不可欠な大きな成果目標(予算)が結果(実績)を下回ってしまう事態が続出しています。つまり、供給過剰ですからモノが売れないのです。
目標とは期待ですので、結果が常に期待を下回ってしまう状態が続くことになります。努力しても結果が出ない状態が続けばモチベーションは下ってしまいます。「総供給>総需要」というマクロ経済が「期待(目標)>結果(実績)=モチベーションダウン」という状態を常に引き起こします。これをモチベーションデフレとよぶこととします。もちろん、いわゆるTOP3%の勝ち組企業にはこの話は無縁です。問題は日本の“一般的な企業(60点以上採れている企業)”にモチベーションデフレが訪れていることです。期待した結果が出ない、モチベーションが下るとさらに結果がでない、モチベーションがさらに下り、ひいては精神的な病気になる、また結果が出なくて‥‥、これをモチベーションデフレスパイラルとでもいうのでしょうか。
(昔のリーダー像がモチベーションを下げている?)
昭和〜平成一桁までを「昔」といい、平成二桁以降を「これから」ということとします。昔というのは企業でいえば創業期→成長期と置き換えてもいいかもしれません。この時期はとにかく一致団結、あの旗を打て!つべこべ言わずについてこい、というリーダーシップが必要です。成長期には誠に有効な、いわゆる「ボス型リーダーシップ」ですね。
リーダーやマネージャーというと、いわゆる成長期に躍進したボス型リーダーシップの残像が強いためリーダーとは親分肌の人物がふさわしいという意見がまだ多数を占めます。
そんな企業もいずれ、成熟期を迎えて衰退期を迎えていくこととなります。そうすると、企業の業績も一進一退、たとえ一時的に業績が上っても、「また落ちるのはないか?」という恐怖感を味わいながら経営することとなります。この時期は結果がとても出にくく、結果ばかりにフォーカスしていると結果が出ないときの社内のムードは最悪になります。
ボス型リーダーシップは結果を重視するあまり、“夜討ち朝駆け”は当たり前で、労働時間の長さを重視し、部下に結果が出るまで負荷をかけ続けます。 社員にとって、仮に今月結果が出ても、「このプレッシャーがまた来月も続くのか」という「つらさ」ばかりが残ります 。
オーナーは完全歩合給制、結果だけの真剣勝負の世界で生きています。ですから、結果の出ない時代において、雇われの身の従業員と温度差が益々開いていくことになります。オーナーがボス型リーダーシップをとれば益々労務管理に悩まされるかもしれません。
(意外とモチベーションが下らない会社の特徴)
結果が出ない時代に結果ばかりにフォーカスし、給与も減額される、休日返上で頑張る、でも結果がでない、そんな状況に陥っている会社は実は少なくありません。会社を維持存続し、雇用と賃金を守るため−という大義名分はありますが、果たしてこのままの状況で労使に幸せがあるのか、ということは私にはわかりません。
経営という格闘技において「結果がすべて」ということを百も承知で、それ以外に手を打たなければならないということを強く感じます。
極端な業績の落ち込みはないが、前年割れしていており、賞与の支給も芳しくない会社であっても、意外とモチベーションが下っていない会社があります。
それを一言で言えば「明日への期待がある会社」です。経営者自身が明日への期待、未来への指針が見えない時代ですので、それが難しいんだよな、という声が聞こえてきそうですが、とても大切なことです。
では、どうやって期待感を出すことが出来るのかですが、10年の経営計画を立てたり、売上倍増計画を示したり、人事制度を導入するといったことではありません。
一言で言えば愛だと思います。社員が自社の商品が好き、会社の考え方が好き、やっている仕事が好き、楽しそうに働いている社長やマネージャーが好き、といった単純なことです。好きで意義を感じていれば、たとえ結果が出なくても「明日こそは!」という期待感が生まれます。楽しさや期待感があれば結果も出やすくなります。楽しそうに働いている上司の下で働くのはなんとなく“楽しそう”です。期待感と同時に「楽しさ」も結果が出ない時代のリーダーシップのキーワードだと思います。
会社も商品も仕事もあまり好きでなくて、必死に頑張って結果が出たとします。しかし、デフレ時代において、「またこのしんどさが続くのか‥」という「つらさ」だけを持ち続けることになります。
使い古されたコメントで申し訳ないですが、成熟経済下においては、結局「ミッション性」ということになるのだと思います。会社、商品は何のために存在しているのかです。ミッションを持てない仕事、持たせにくい仕事はそれを持たせることが出来る会社にアウトソーシングしてしまうとよいでしょう。
そうです。これからのリーダーシップのポイントは「結果がすべてと百も承知で、会社、商品が大好きで、楽しそうに働くこと」なのです。昔のリーダーシップのイメージとはちょっと違いますね。
今月の標語は「社員のモチベーションを再考する」でした。リーダーとはリードする人であり、メンバーに働きやすいようにサービスする人のことです。必ずしも結果だけ出せばいいという人ではないんですね。
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