労働組合といえば中小企業にはなく大手企業のものというイメージが強いものです。しかし、昨今中小企業の労働者も労働組合に加入する事案が増加してきました。それは合同労組への加入です。合同労組とは中小企業の労働者を中心に企業の枠を超えて地域・職種別等あるいはそれにかかわらず、個人加入の形態をとっているものをいいます。昨今はパートタイマーでもドンドン合同労組に加入する時代となってきました。
このような個人で加盟できる合同労組は、労働者の“駆け込み寺”としての存在です。労使紛争における交渉の当事者になる場合も決して少なくありません。
合同労組であっても労働組合ですから、団体交渉権があります。さらに解雇後に加入がなされた合同労組であっても同様です。だだし、自己都合退職者なら応じる義務はありません。
組合から団体交渉の申入れがあった場合に、会社は正当な理由なく拒否したり、団体交渉に応じながら誠実に交渉を行わなかったりする場合、労働組合法が禁止する「団体交渉拒否の不当労働行為」に該当しますので注意が必要です。不当労働行為とは、労働組合の活動を嫌ってその結成や運営に不当に干渉したり、妨害する行為をいいます。
ですから、まずは労働組合と“団体交渉のテーブルにつく”ことが求められます。企業にとっては必ずしも歓迎できない合同労組からの団体交渉に応じる場合、どういった点に注意すべきかのポイントは以下です。
その1 初動を大切に
労務問題は初動が大切です。早ければ早いほど打つ手が多くあるからです。事がこじれにこじれ、選択肢が限定された段階で専門家に相談してもなかなか有効な対応ができないことが多いのです。ご質問のケースでいえば、「解雇した、組合に入って押し寄せてきた、どうしたらよいか?」ではなしに、「そのようなことにならないように対処(解雇を含む)をするにはどうしたらよいか?」ということで事前に相談するのがさらに大切です。つまり、初動段階で専門的知識を取り入れ、きちんとした戦略を立てるべきだということです。
その2 常に冷静に
団体交渉は交渉ごとです。しかもこちらは始めてで、相手は経験豊富な場合が多いのは事実です。合同労組との堅苦しい書面のやりとりはだんだんと疲れてくるものです。いつまでも延々と平行線をたどり不毛の議論が続くこともあります。交渉が長時間となり心理的に追い込まれることがあるかもしれません。また時には強硬な言葉で揺さぶりをかけてくることもあるでしょう。しかし、相手のペースにはまることなく、常に冷静さを失わない態度で応じることが大切になります。感情的になれば負けです。感情的になれば判断を誤ってしまうからです。
その3 手強くフェアに
労使紛争にはいろいろなステージ・段階があります。いずれの場合においても恐怖心を持つことがマイナスに働きます。もちろん、世間体もあるし、先が見えない、具体的にどうしたら良いか、よその会社では労働争議で倒産したなんて話もある‥‥、などなど恐怖心にかられてしまうのは当たり前のことです。
しかし、その困惑、恐怖心を持ちすぎるのが最もよくありません。労働組合も労働者もあの手この手で会社から有利な条件を引き出そうと淡々と狙ってきます。ズルズルと、その都度、譲歩・迎合というのが、最も会社・組織をおかしくします。
ちょっとした気合と基礎知識を持ち、社会に対して胸が張れるフェアな気構えをしていれば恐れることはありません。その基本姿勢は「良いものは良いし、悪いものは悪い」、「譲れることと、譲れないことがある」という社会人として良識のある対応・スタンスに尽きると思います。手強くかつフェアにです。そして、フェアであることの証拠を残し続けることです。
その4 あくまで“交渉”である
合同労組からの団体交渉の申し入れがあれば、会社には団代交渉に誠実に応じる義務があります。しかし、必ずしも団体交渉による解決に至らなければならないわけではありません。誠意を尽くして交渉を続けたにもかかわらず、双方が主張を曲げないために、これ以上継続しても進展する見込みがない場合は交渉を打ち切ることは許されています。
その他、注意するポイントとして、「お互いの出席者は同数とする」「社長の出席は避ける」「その場での即答は控える」「労組から提示された書面には気軽にサインしない」「和解するならタイミングを逃さない」などがあげられるでしょうか。
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