「成果主義」とは「“当たり前”主義」
最近は、「虚妄の成果主義」(高橋伸夫氏)、「内側から見た富士通 成果主義の崩壊」(城繁幸氏)など「成果主義」を批判する書籍が話題を呼んでいる。インターネット、新聞雑誌を含め、「成果主義」という言葉は氾濫している。当然、従業員にも浸透しており、自分なりの成果主義へのイメージを持っていが、その大半がマイナスイメージである。
従業員の成果主義に対する批判、誤解はおおむね以下のようなものだ。
◎ うちの会社は「成果主義」はなじまない、なぜ成果主義人事賃金を導入する必要があるのか?
◎ 結局、人件費カット、給料を上げないための手段ではないか?
◎ 成果主義を導入したら、今の職場の良いところ(チームワーク、ヤル気等)がなくなってしまうのでは?
上記の質問に自信を持って回答できるだろうか?自信がないなら、「成果主義賃金制度」は導入しないほうが良い。
不況期に取りざたされる 成果主義
不況期、過去からオイルショック、円高不況そして平成不況‥、業績低迷の打開策として、人件費合理化が優先課題となって「成果主義」的なものがその都度取りざたされてきた。ここ3年ぐらいの私のご支援を振り替えっても、ほとんどの企業様が「人件費の合理化」に端を発していたような気がする。
でも、これは当たり前。売上、粗利が思うように伸びない、従業員数は変わらない、人件費は社会保険料等法定福利費の毎年のアップ‥など、人件費の合理化をせざるをえない。
成果主義とは積極的メッセージではなく消極的メッセージ
成果主義賃金とは「やる気を出すもの」ではなく「やる気をなくすことをふせぐもの」だ。つまり、「やってもやらなくても同じ、だったら、や〜らない!」という状況を避けるという、とても消極的なものだ。今も昔も成果主義であろうが、なかろうが、「やった者にはキチンと報いたい」という経営現場のニーズは普遍のはず。「成果主義」は今までもやってきたし、これからも「成果主義」でしかありえない。
賃金コンサルの実務上は、シンプルに評価のガイドラインを作成し、それを不満が出ないように報酬に反映させる程度の問題でしかなく、経営の中の本当に小さな部分改善となっているのが現状である。
成果主義とは報酬制度の基本である
報酬制度の基本は、経営ビジョンを達成するために、@求める人材像(期待像)を明確に発信する、A人材の貢献度を判定し、本人にフィードバックする、Bそれにもとづいて処遇する、それだけだ。つまり、今までもやってきたことで、世界各国、どの時代であったとしてもこれ以外の報酬制度はありえない。
成果主義とは上記のとおり、会社への貢献度に対して報酬を支払う 仕組みであり、これに異論を唱える人はいないし、唱えることもできない。決して難しいことを従業員に要求することではなく、当たり前のことを当たり前に行い、当たり前に還元していくということ、それ以上でもそれ以下でもない。
その当たり前が難しい?
とはいっても、従業員の成果主義アレルギーもあることも事実であるようだ。まずは成果主義という言葉を使わず、たとえば、「正直ものが馬鹿を見ない人事制度」「貢献に応じた人事制度」など、成果主義の理念を誤解のないように伝えることも必要かもしれない。
もっとも、成果主義の理念を実現するために、本当に「制度(システム)」が必要かどうかを検討する必要もある。
成果主義賃金制度などなくとも、成果主義の理念を実現している、元気な会社は以下のような会社
・ 従業員30名未満
・ ワンフロアーで常に社長・リーダーが従業員の働きぶりを見ている
・ 社長又はリーダーが1年に1回以上は面談をしている
・ 毎日、社員のいいところは褒め、欠点はズバズバ指摘している。
・ 常にあるべき姿、人材像を毎日いろいろな方法で発信し続けている
・ 賃金表や人事考課表はない
・ 社長が場当たり的に決めているが報酬の不満はなぜかない(←業績がいいので世間相場以上の賃金)
小さなエクセレントカンパニー(企業業績と企業文化が高いレベルで維持できている企業)が立派な人事制度を持っているかというと決してそうではなく、本格的に検証したことはないが、何の相関もないと思われる。
成果主義賃金という緻密な「制度」に逃げてはいけない。また、成果主義の理念からも逃げることはできない(企業体質が甘くなる)。我が社の経営ビジョンに照らして、@期待する人材像を明確にする、A事実にもとづてい判断・フィードバックする(主観でいい)、B不満の要因にならない程度に評価を反映して処遇する。この3ステップを実現するために我が社ではどうするかをゼロベースで議論してもらいたい 。
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