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永年勤続表彰で勤続を奨励しよう

ここ数年、大企業、中小企業問わず、法律に定められている以外の福利厚生費の削減が毎年続いている。成果主義、能力主義の流れから、「ただ勤続する従業員に表彰する制度は不要」ということで、永年勤続表彰制度も廃止傾向が続いている。(永年勤続表彰制度1992年実施率92.2%⇒2003年81.6%)しかし、私は勤続や年功も重要な経営指標であり、決して軽視すべきではないと考える。従業員はできるだけ、同じところに永く安定して勤務することを望んでいる。永く勤務できそうにない職場や先輩社員が過去に冷たい処遇を受けた職場は、会社と社員が心を一つに合わせることが難しく、上昇組織を作れないのだ。そこで、私は「新・年功主義の労務管理」の一環として、退職金制度は、“一応ある程度”に金額を抑制しながら、勤続5年、10年、15年、20年、25年等の節目に社員全員の前で、永年の勤続を賞賛し、金一封を手渡しする「永年勤続表彰制度」を存続(創設)することをお勧めしたい。

これではダメだ!卸売業A社の事例
A社は住宅設備機器の卸売業。創業60年、従業員52名の会社だが、ここ数年、業績の低迷が続いている。3代目の社長の就任を機に、大手取引先の人事労務の諸規程のコピーをもらい、自社流にアレンジして、昨年4月から各種の新制度を実施しはじめた。従業員にすこぶる不評だったのが、以下の2点だ。

退職金制度は廃止する。一度、ここで企業年金制度を解約し清算する。その変わり、全員一律2000円?3000円を給与に上乗せする。
永年勤続表彰制度は廃止する。(従来の永年勤続表彰制度は、勤続5年で2万円、勤続10年で5万円、勤続15年で6万円、勤続20年で7万円の現金と旅行券が支給されていた)
特に45歳以上のベテラン従業員の反発は大きかった。ここ3年は給料もベテラン層はカットされることが多く、「俺たちは要らないのか!」という不満の声が多くあがっていた。

その変わり、20代の若手社員の待遇は底上げされたが、その状況を見るベテラン社員が「お前たちもそのうち年をとって給料下げられるぞ。転職するなら今のうちだ!」という問題発言をするようになった。

退職金制度は“一応ある程度”で存続しよう
退職金制度の廃止の議論が鳴り止まない。今の成果に今報いていくという時価主義、短期決済の成果主義の流れでは当然である。退職金はすこぶる労務管理効果が薄い報酬制度なので多くの経営者が「もう止めたい」のがホンネだ。1000万円や1500万円の退職金をお支払いしてもその従業員はもう明日から出社しない。その退職者の後ろ姿を見て、「よし、俺も退職金をもらうために頑張ろう!」と思うのなら効果があるだろうが、実際はそんな人はいない。しかし、私は退職金制度を全く廃止にしてしまうのは反対である。退職金制度の目的をよく考えて、支給対象者、加算方法、支給金額を時代にマッチするように見直すことだ。見直すとは大幅な減額となるが、それは昨今の経済情勢、低金利下ではいたしかない。退職金は“一応ある”程度で存続させることだ。

永年勤続表彰で勤続を奨励しよう
退職金制度というのは、もともと勤続を奨励するインセンティブであった。それが、昨今、経済情勢、低金利下で制度の存続が危ぶまれている。それにともない、同様の論調で永年勤続表彰制度まで廃止する動きがあるが、それではいけない。従業員というのは、生活を安定させることをまずは望んでいる。そこそこの収入を得て、そこそこの家に住み、そこそこの家庭を築いて、そこそこ仕事をするといった具合である。社長のような上昇志向の社員はすこぶる少ないのではなかろうかー。そして、その安定のベースはやはり、「長期勤続」であり、“ある程度の”「年功」も加味した報酬体系である。年齢や勤続で決まっていた従来の賃金体系や退職金制度の反省の反動が今大きく反対にブレすぎている。

私は労務のコンサルタントという仕事柄、多くの会社の「永年勤続の表彰」の現場や「定年退職の挨拶」の現場に立ち合わせていただくことがある。

その時、なんとも言えない暖かさと会社と社員の心が一つになる空気が漂う。特にメーカー・卸売業の会社は永年勤続表彰制度や定年時の慰労金制度は必要だ。福利厚生費の削減というが、金額も知れているではないかー。産労総研の統計によれば、勤続5年で2.3万円、勤続10年で4.6万円、勤続15年で5.6万円、勤続20年で8.1万円、勤続25年で9.3万円、勤続35年で9.8万円、勤続40年で11.3万円だ。もちろん、演出が重要で、みんなの前で、労いの言葉と感謝の言葉をかけて、現金で賞金を社長の手から渡すことだ。。

それを見た若手は、「俺も永く勤務させてもらえるように頑張ろう。それによって生活も安定する。でもどうせ頑張るなら上を目指そう!」と思えるのではないだろうかー

また、コツがもう一つある。永年勤続表彰規程というように「規則化」して配布してはダメだ。もちろん、金額にバラつきがあってはダメなので、社長の机の中には規程があっても良いのだが、会社の中に暗黙知の状態が良い。規則で支給するのと褒美で支給するのは受け取り方が違うからだ。これはすべての報償システムに言えることだ。

中小企業には、「そこそこの勤続・年功主義」と「そこそこの成果主義」が必要だ。そこそこの勤続主義・年功主義がベースにない会社は、イザとなったときに組織がバラバラになってしまうのだ。厳しくて愛のある集団が最も強い。永年勤続表彰はその愛の表現の一部なのだ。。

貴社では、従業員に対して「我が社に入社してくれてありがとう」「君がいてくれて本当に良かった」という感謝を表す節目を作っていらっしゃいますか?


 

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