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会社を潰す!パートの社保未加入摘発調査

多くの会社で1度や2度は社会保険の調査を受けたことがあると思う。そのときは“なんとかなった”という感想が多いのではなかろうかー。しかし、なんともならない調査があることを警鐘の意味で申し上げたい。それは会計検査院の調査である。会計検査院とは、社会保険事務所の仕事ぶりを調査する機関である。その会計検査院が今、パートの未加入者の摘発に全力をあげている。社会保険加入の義務のある者を加入させていなければ、2年間遡って加入させられる。飲食業、ホテル・旅館業、小売業などパートを多数雇用している業種はそのペナルティーは数千万にのぼることがある。

疑わしきは罰する
社会保険の加入要件をご存知だろうか。給料額とは関係がなく、労働時間だけで決まる。正社員のそれと比べて、1日の労働時間と1ヵ月の労働日がともに4分の3以上に達すると加入の義務が発生する。これを4分の3ルールと言う。会計検査院はこのルールを誠に厳格に適用する。“疑わしきは罰する”という姿勢だ。これは従来の社会保険事務所の調査とは全く違う。「今後改善する」という「落としどころ」はないと考えたほうが良い。未加入が発覚すれば、その場で加入の手続きを強制的にとられるのだ。それも必ず2年間遡っての加入となる。

保険料1300万円の遡り徴収が決まったA社
A社は従業員70名(正社員30名、パートタイマー40名)の雑貨販売の小売業。ここ最近業績は好調で北は北海道から南は鹿児島まで直営店を持っている。スタッフの大半はフルタイムのパートタイマーであり、フリーターと主婦で構成されている。ある日、社会保険事務所の調査の案内が来た。その案内には、「当日、調査には会計検査院が立会いますのでご承知おき下さい」との記載があった。A社の社長は、「社会保険なんてみんな入りたくないと言っているのだ!将来もらえない年金のためにどうしてパートまで加入をしなければならないのだ!」と憤慨し、調査に出向く総務部長に「絶対に加入はしない、と主張しろ」と命令した。総務部長も3年前に受けた調査でもそのトーンでなんとかなったので、今回もその作戦で行こうと調査にのぞんだ。

調査会場は、いつもの社会保険事務所の雰囲気とはまったく違った。社会保険事務所全体に緊張感が漂っていた。調査が始まり、みるみるうちに賃金台帳に付箋がはられ、長時間パートの勤務時間を2年間調べられた。60分後、調査官より、「貴社は本来加入するべき義務のあるパートタイマーがが25名います。2年間遡って加入をしていただきます。」

総務部長は猛烈に反発したが、調査官は4分の3ルールを繰り返し説明するのみで、まったく交渉の余地はなかった。加入の届出も役人が勝手に作成して押印を押すように指示してきた。

保険料の請求額もその場で提示され、その額は会社と従業員負担をあわせて1300万円にのぼっていた。今からパートにこの額の負担を求めることもできない。総務部長は、社長にどのように報告したらいいのかを考えると青ざめた。

未加入者の中に1名64歳の年金受給者のパートがいた。本来支給停止になるはずの年金の返還も同時に求められた。その返還の方法も説明されたが、総務部長はそのとき既に狼狽してしまい、何も理解ができない状態だった‥

狙われる会社は?
会計検査院の社会保険未加入の調査のやり方を見ているとその傾向がわかる。狙われやすい会社は以下のような会社だ

60歳?65歳のパートタイマーで未加入の人がいる会社(所得税からわかる)
フルタイムのパートタイマーが一般的に多くいる業種の会社(飲食業、小売業、ビルメンテナンス業、美容業等のサービス業)
従業員が50名以上の会社
2009年が節目
マスコミで報道されているとおり、現在、超高速少子高齢社会に対応できる財政状態ではない。100年安心の2004年厚生年金保険法の改正であったが、わずか2ヵ月でその屋台骨を揺るがす報道が相次いだ。現在、労働者の3人に1人は非正社員(パート、アルバイト、派遣社員等)だ。今後、正社員と非正社員の割合は50対50になると言われている。国は今後、非正社員から保険料や税金を徴収するために、妥協のない、ありとあらゆる方法をとってくると考えられる。2009年には、週20時間以上の勤務のパートも全員加入となることがほぼ見込まれている。経営者も、今までの発想を変えていかなければ、結局、計り知れないペナルティーを負うことになる。2009年という年が一つの節目になる。それまでに人件費シュミレーションと組織人事の対応策を考え出さなければならない。

 

 

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