福田式賃金管理事務所お問い合せ
HOME > 事務所案内 > プロフィール
HOME コンセプト サービス 講演CD セミナー・研修 事務所概要 お問い合せ
  会社案内

 

日当を支給している会社は伸びない?−出張旅費規程を見直そう−

近頃、2005年4月1日施行の個人情報保護法の影響もあってか、就業規則の見直しのニーズが高い。その見直しの一つに「出張旅費規程」がある。中小企業はのそれは、10年以上前に大企業の規程の雛形をもらって作成しているために、驚くほど、時代と企業規模に似つかわしくないものが散見される。出張旅費規程の見直しの内容は、具体的には、交通費、日当及び宿泊料の3つであり、特に議論すべきは“日当”である。そもそも日当とは何だろうか?この日当という制度も、賃金や退職金と同様に、国家公務員の制度をそのまま移行してきたようである。賃金や退職金は見直しを行ったが、出張旅費規程を何年も見直しせずに放置している企業も少なからずあるのではなかろうかー。そこで私は、この日当を中心に出張旅費規程の見直しをすすめることをお勧めしたい。具体的には、日帰出張の日当は廃止する、宿泊出張の日当もできれば廃止する(存続しても1,000円?2,000円とする)、宿泊料は一定金額を支給するのではなく、上限を決めて経費清算する。ここで申し上げたいのは、私は日当の廃止により、コストを削減したいのではない。その背景にある企業風土を問題視したいのだ。

日当が賃金体系をゆがめてしまったA社
A社は従業員150名の菓子製造メーカー。A社の出張旅費規程は係長クラスの日帰出張日当2,000円、宿泊出張日当3,000円となっている。課長クラスになると日帰出張日当はなくなり、宿泊出張日当は3,500円となる。A社では日当は営業マンの時間外労働の補填の意味があるのだという。しかし、困ったことに営業マンは稼働日23日のうち20日は日帰出張をするような状態である。そうすると係長は日当だけで2,000円×20日=40,000円となる。一方、課長になったらその日当がなくなるそうだ。課長の手当が45,000円なので、誰も責任の重い課長になりたがらないとのこと。また、宿泊料について言えば、課長の宿泊料は10,000円、係長の宿泊料は9,000円となっている。しかし、噂によると、どうやら多くの者がインターネットで安いビジネスホテルを予約し、3,000円から4,000は浮かせているとの話も聞く。

問題点その1:日当に時間外労働分の意味を持たせてはいけない
日当とは、確かに営業マンの時間外労働の補填の意味があるという会社も複数ある。しかし、日当には時間外労働の意味は含めるべきでなく、時間外労働の分は月給の賃金体系の中で時間外労働相当分の「営業手当」として支給するべきだと思う。A社の出張旅費規程を拝見すると、口では「時間外労働相当分」と言ってはいるが、そのようなことは規程化されておらず、時間計算の根拠もないので、まったく法的には無効となってしまう。

問題点その2:日当とは何か、その意味がすこぶる不明確
日当には他に昼食代、諸雑費、移動の労苦などの意味があるというが、これも意味がわからない。昼食などは出張していなくてもとるし、雑費とは新幹線の中での飲食や新聞代だろうか?移動の労苦というが、新幹線「のぞみ」が値下がりにより、だんだんと利用許可されてきているご時世にそれが“労苦”なのだろうか?時代はまったく変わっているのだ。このような考えると日当の目的はすこぶる曖昧になってしまう。

問題点その3:収支に関係なく一定額のお金を支給してはいけない
A社は結局、出張にいくと日当+宿泊料で、課長は合計13,500円、係長は合計12,000円のお金を自分の収支に関係なく手にすることになる。これは、ハッキリ申し上げて公務員の発想そのものだ。日当のルーツを詳しく調べたわけではないが、日当というシステムは、公務員の旅費に関する法律「国家公務員等の旅費に関する法律」通称「旅費法」から出ているような気がする。この旅費法のなかに一般企業の出張旅費規程の項目である「交通費、日当及び宿泊料」という言葉がそのままあるのだ。日本の多くの企業のの賃金制度も「号棒」とか「年齢給」という言葉を使ってきたのは、これも公務員の制度の横流しであるのだからそれもうなずけるのではなかろうか。

日当は原則廃止し、必要な分はその理由を申告し経費清算しよう


日帰出張日当は廃止する──日帰出張日当はおそらく上記のように時間外労働の意味を持っていたのだと思う。しかし、労働基準法的に言えば、それが日当として支給されている限り、時間外労働相当分の賃金(いわゆる残業代)とはみなされない。残業代は別の支払い方(多くは定額の営業手当)で支給すべきものでその意味をよりハッキリとさせておかなければならない。
宿泊日当もできれば廃止する──宿泊するとなぜ日当が支給されるのか?これもよくわからない。日頃、家庭でとる食事を外食するのだから、余分に費用がかかるというなら、管理職であっても、一般職であっても、その金額は1,000円?2,000が限度ではなかろうか。
宿泊料は一定金額を支給するのではなく、上限を決めて経費清算する──宿泊料はたとえば、一般職9,000円、管理職10,000円などの上限を設け、その上限の範囲内でホテルから領収書をもらい清算させる。朝食付はOKか?など細かなことはあるが、とにかくこの範囲の領収書であればその分を支給することだ。

私は出張旅費規程の見直しの目的はコスト削減ではないと思う。それはたかが知れている。それよりも今まで支給していたから、支給するという企業体質を問題にしたい。ある有名なファンドマネージャーが「伸びる企業」と「伸びない企業」を見分けるチェックポイントを紹介していた。その一つに「スリッパに履き替える会社は伸びない」というものがあった。もともとスリッパに履き替えるのは、雪の多い東北地方で靴が濡れているからスリッパに履き替える習慣から始まったという。つまり、スリッパに履き替えることの「合理性」が大事で、東北地方ならその理由で良いのだが、雪のない地方の場合、「なぜ、スリッパに履き替えるのか」を考えずに、「今まで履き替えていたから」という理由でスリッパ制度を継続することが問題なのだという。言い換えれば、合理性を問わずに従来の惰性に流される企業風土は会社の業績の足を引っ張るということだ。「日当を支給している会社は伸びない!?」とまでは言わないが私の言いたいのはそういうことだ。

 

 

このページのトップへ戻る

<< HOMEに戻る

賃金・退職金・就業規則・賞与・評価・役員報酬 など中小企業の労務・法務管理に役立つ実践情報を積極配信!
知って得する福田式!

無料!今すぐ登録!

メールアドレス登録
登録 削除


【お役立ち情報】
◆成果が出ないから成果主義?給与減額時代の「月給」決定の実務
◆パートの社会保険未加入リスク対策
◆中小企業は「IQの高い者」を採るな!―人が集まらない小さな会社の採用戦略―
◆警告書・始末書の心と技とシステム ─問題社員を解雇する前にやるべきこと─
◆年収300万円時代の報酬システム ─非金銭的報酬で「報われ感」を演出しよう─
◆中小企業の休職規程の作り方 ─「うつ病」時代を乗り切るために─
◆新しい試用期間の設定方法 ─従業員を選び抜く工夫─
◆中小企業の社員研修方法(その@) ─簡単で、安価で、継続できるシステムを作り出せ!─
◆ライバル会社への情報漏洩を防げ! ─これは困った!顧客を奪って転職・独立─
◆オーナー社長のための解雇講座 ─解雇するときに、どんな点に注意すべきか?─
◆中途採用時の初任給の決定方法 ─若年労働力を確保するために─