65歳継続雇用制度を作ろう(その1)
いよいよ来年、平成18年から段階的に「65歳定年(又は継続雇用)」の導入が義務付けられま す。今後は、若年労働力が益々確保しにくくなるからこそ、60歳?64歳の社員(以下、シニア層 といいます)を活用を前向きにとらえていきたいものです。では、どのように処遇をしていけばいい のか?そもそも正社員かパートか?賃金はいくらにすれば良いのか?は悩ましい問題です。そこで私 は、シニア層の人事フレームを4つ設けることを提案したい。具体的には、(その一)幹部クラス:賃金手取 り維持、(その二)嘱託一般社員A(フルタイム):賃金15万円?20万円、(その三)嘱託一般社員B(パー トタイム):時間給800円?1000円、(その四)業務委託契約者:委託料又は指導料20万円?3 0万円です。
60歳以降の賃金は市場価格
60歳以降の賃金は、60歳時点の賃金を基準に決めることは適当ではありません。特に年功序列 賃金の下では、60歳時点の賃金はその仕事ぶりに比べて割高になっていることが普通だからです。
よく「60歳賃金の8割を維持」など言われますが、根拠のない話です。あくまで再雇用ですから、 社内バランスよりも、一度リセットして、市場価格で決めるべきです。ちなみに厚生労働省の賃金構
造基本統計調査2004年によると、京都の従業員10人?99人の会社の60歳以降の賃金(高卒 平均)の推移は、60歳:27万円、61歳:25.9万円、62歳:24.7万円、63歳:24
.2万円、64歳:23.6万円となっています。この統計数値は、選別され再雇用された労働者の 数字であり、今後は原則継続雇用に切り替わるわけで、より減額されていくことは間違いありません
。
1年単位契約で昇給という概念は無し
60歳以降の雇用契約は1年単位で労働条件を見直します。その都度、会社と本人で話合い労働条 件を決定します。賃金は毎年ゼロベースで決定されることになります。ですから、昇給という概念は
ありません。この1年単位の契約は幹部クラス以外すべてのシニア層と行うことになります。
幹部クラスの賃金決定
中小企業においては、部長クラスであればそのまま職位を継続していただくことは多くあります。 (課長クラスは定年でお辞めいただくことが普通ですが‥)。私は部長クラスの方の賃金は、そのや
る気はプライドを重視して、できればそのままの賃金を継続することをお勧めしたい。また、その部 長さんの了解を得て、「会社からの賃金」と「年金」と「雇用保険から支給される高年齢雇用継続給
付」を合計して手取り維持をするということも出来ます。この場合、業績が良ければ賞与にてどんど ん還元していくことです。
嘱託一般社員クラスの賃金決定
嘱託一般社員A(フルタイム)の賃金についても一度リセットして市場価格で考えるべきです。そ の方が職安に行って、これから求職を行ってもおそらく20万円以上で雇用してもらえるケースは稀
でしょう。ですから、このクラスは会社からの賃金は15万円?20万円程度の支給とすることです 。このクラスも、上記の幹部クラスと同様に、「賃金+年金+雇用保険の給付」の組み合わせで、月
額20万円以上の手取りは維持できるはずです。賞与については、寸志+アルファ程度のイメージで 会社の業績によって支給することで良いと思います。嘱託一般社員B(パートタイム)ですが、これ
は嘱託一般社員Aの賃金総額を時間給換算して、比較的短時間の勤務に対応するものです。
業務委託契約者の場合
業務委託契約者は「労働者」ではありません。会社と「業者さん」の関係です。ですから、賃金で はなく、「業務委託料」です。当然、保険や福利厚生はありません。これは、専門技能を持つシニア
層には大うけで、業種によってはすべてこれで対応が可能な場合もあります。職種としては、裁量的 要素の強い職種、たとえば、営業、生産技術、管理の指導、設計、開発、給与計算などの事務処理な
どが比較的導入しやすいようです。本人にとっては、専門技術を活かして他社とも契約したり、年金 が全額受給できたりなどのメリットがあります。会社としてのメリットは、毎年上がる社会保険料負
担が助かる、継続雇用制度の趣旨にも合致し、本人の納得も得やすいことなどがあげられます。業務 委託者の要件としては、指揮命令を受けない、時間管理・勤怠管理されない、備品等を無償貸与され
ていない、給与所得として源泉されていない、社会保険料を控除されていない、責任負担の明確化な どの要件があります。しっかりと実態として労働者ではないとう要件を整備することが重要です。業
務委託料の額はケースバイケースですが、20万円?30万円程度が多いように思われます。
継続雇用と退職金制度改革は車の両輪
今、日本は幕末、戦後に次ぐ、3回目の構造変革期を迎えています。構造変革期とは、ゲームのル ール(前提)が変わることです。そのルール変更に最も大きなインパクトを与えているのが、成熟経
済と少子高齢化です。人口増加・高度成長・インフレ時代の遺物が退職金制度、人口減少・低成長・ デフレ時代の産物が65歳定年(継続雇用)制度です。退職金改革に着手されている会社も多々ある
と思いますが、この前提(ルール)の変化をしっかりと社員に伝えましょう。なぜ、退職金制度改革 なのか、なぜ65歳継続雇用なのかです。この前提の理解は賃金制度改革をする際の布石になります
。「前提をしっかりと共有すること」これがすべての改革のポイントとなります。
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