フリーターを救って会社を発展させよう
大手、中小問わず企業は正社員から非正社員(パート、派遣、請負等々)に労働力を置き換えています。非正社員にも色々なタイプがあり、「家事や育児で短時間の昼間のパートを選択している人」「定年後の社会貢献でマイペースで請負で働いている人」「学校との両立で夜に勤務している人」などがあります。しかし、最近、労務の現場で気になるのは、「正社員になれないから仕方なくパートタイマーで勤務している人(以下、「フリーター」といいます)」です。特にこのフリーターがドンドン増加しているように思われます。しかし、この傾向は社会、企業、個人にとって決して望ましい姿ではありません。そこで私は、このフリーター層を戦力化するために「一般職正社員」として処遇することを提案したい。
従業員のニーズを知る
人は自分のために働いているのであり、会社のために働いている人はいません。会社は労働者が「働きたくなる」ような労働条件や処遇を準備する必要があります。従来の非正社員はパートタイマーで、多くは主婦でした。主婦の主なニーズは勤務時間の融通がきく、人間関係が良いことなどがあげられます。60歳以降の高齢者パートのニーズは、体力的にきついことはできないが、マイペースで、誇りをもって、自分の経験を生かし、社会貢献をしたいというところでしょうか。フリーターはどうでしょうか。やりたいことが見つからないからフリーターという選択をされている方もおられます。しかし、派遣社員も含め、多くのフリーターは「本当は正社員として働きたい」というのがホンネではないかーと思うのです。昨今、売上・利益の低迷で人件費圧縮のニーズが高まり、従業員のニーズは無視されがちです。しかし、これからは社内の半分近くが「正社員以外の人」になります。これらの人のニーズを無視しては会社と従業員の心を一つにすることはできません。
法律を守る
最近、社会保険の未加入者の調査が厳しくなってきました。社会保険料の増加により、企業・個人ともに社会保険逃れが急増しているからです。特に目にとまるは、長時間労働のフリーターです。また、今後、2009年には社会保険加入が週20時間以上の勤務の者には適用されることはほぼ間違いありません。つまり、パートだから、フリーターだから、社会保険未加入という認識は一切通用しなくなるということです。税務調査においても、パートの所得税の申告徴収漏れを指摘されている会社も多いと聞きます。今後は、社会保険料についても、税金にしても広くあまねく徴収されるようになることは間違いありません。今までと同じような甘い考えでフリーター・パートを扱っていれば必ず大きなしっぺ返しを食らうことになります。
高度成長モデルからの転換
男が働きに出て、女が家庭を守り、子育てが一段落したら、家計補助のために、年収100万円程度を目的に、社会保険の加入にならない程度にパートに出る、というのが今までのモデルでした。しかし、国の政策がその構図を崩しにかかっています。パート主婦にも社会保険料を払ってもらう、所得税の配偶者特別控除を撤廃するなどがその例です。私は非正社員(パート、派遣、請負等)の年収は平均して200万円から250万円までに上昇していく方向にあると思っています。たとえば、これからは、夫婦共働きで両方が年収250?300万円程度で、家計の収入が600万円程度というスタイルです。「年収300万円時代を豊に生き抜く経済学」という本がありましたが、パート(年収100万円クラス)と正社員(年収500万円クラス)が年収300万円というラインに引き寄せられていく、つまり、パートの平均年収が上がり、正社員の平均年収は下がるイメージです。
働き盛りを“刹那的な”フリーターにしてはいけない
特に最近目にとまるのは、「20歳?50歳までのフリーターの人の増加」です。労働者は驚くほど“刹那的な労働力を切り売り”しています。世帯主のフリーターもすこぶる多いことに驚きます。近頃、「勝ち組」「負け組」「負け犬?」という言葉がよく聞かれますが、社会や企業はフリーターの人たちが、負け組として後ろ指さされることなく、彼(彼女)らが誇りをもって働けるインフラを整備していくことが急務だと考えます。
年収の低い正社員群として対応しよう(一般職正社員)
正社員:月給制、賞与有り、退職金有り、社保加入
パート:時間給制、賞与無し、退職金無し、社保未加入
上記は従来の典型的なモデルです。最近は、これだけではカバーできず、契約社員(月給制、賞与無し、退職金無し、社保加入で1年更新)という雇用形態も多々見られます。この契約社員が年収300万円程度の層です。私が提案するのは以下のような「一般職正社員」です。
一般職正社員:月給制、賞与有り、退職金有り(超低退職金)、社保加入
一般職正社員のポイントは、正社員と“処遇体系”(水準ではない)の格差はないというものです。雇用契約期間の定めもありません。ただし、年収の上限を設けます。格差は月給と賞与の「水準」の格差です。月給20万円×賞与3ヵ月分が天井です(年収300万円)。退職金はポイント制とし、社外準備が不要なぐらい、“申し訳程度にある”ぐらいにします。
賞与についても、私は金額を相当落として寸志程度でも、支給するのが良いと考えます。それも、夏・冬に支給することとします。正社員が支給を受けているときに、現金で、同じ封筒で、同じタイミングで渡すのが一番いいのです。予想以上に業績が良ければ決算賞与も支給することとし、この決算賞与は年収の上限を超えた場合でも支給します。
「給与水準」をどう決めるか?は会社と個人で決めることです。民事不介入の原則で誰も口出しすることはできません。働きと給与水準が見合っているなら正社員か非正社員かでこだわる必要はあまりありません。結局、人件費のコントロールの問題です。契約期間の定めは労働者側から見て、不安要素となります。経営ニーズからすれば、契約期間の定めがあるほうが、何か本人に問題があるとき、経営が苦しくなったときにお引取りいただきやすいということはいえますが、何回も契約更新を重ねれば、それが常用雇用に転化するという労働判例法理があります(期間の定めがないのと同じになる)。だとするならば、最初の2?3年は契約期間の定めを設けるにしても、以後は、期間の定めのない一般職正社員に移行するほうが良いのではないでしょうか。
経営とは、「顧客の創造」であり、「変化対応」だと言われます。それを労務に置き換えれば、「労働者が何を望んでいるか」を常に把握して、その労働環境を整備していくこととなります。会社の一方的なニーズの押し付けでは会社と従業員の心を合わせることは出来ません。人件費の上昇はこれ以上できませんので、(一般職)正社員という称号を与える、安定を与える、会社との一体感を与える、期待をかけることでなんとかフリーターの皆さんのガンバリに期待したいものです。
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