中小企業は積極的に配置転換を実施しよう
中小企業において、人と仕事が不可分になりすぎていることがよくあります。その人にしかわからない仕事、周りからは見えない仕事をかかえていることが多いのです。極端な場合、上司が部下の仕事を把握していないことすらあります。仕事が人に引っ付きすぎると、的確に指示が出せない、適正な評価ができない、その人が抜けたら誰も穴埋めできないなど、多くの問題が浮き彫りになります。そこで私は、仕事と人のつながりを切り、企業としての体制を整備するために2年に1回は配置転換や担当換えを実施することをお勧めしたい。
これではダメだ!会計事務所A社の事例
A社は従業員16名の会計事務所。勤続8年の従業員Bさんという男性(35歳)が突然退職をしました。Bさんは、とても優秀で所長からは絶大な信頼を得ていました。担当顧問先は優良顧客ばかり23社持っていました。その中の1社にC社という会社がありました。C社はBさんが7年間担当をしていた会社です。引継ぎの過程で、BさんはC社だけに「ここまでやるか」という過剰なサービスを行っていたことが判明したました。事務所には内緒で、税務に関する雑務はもちろんのこと、税務以外でも社会保険の手続き、助成金申請、従業員個人の税務相談や経営コンサル的なことも行っていました。当然ちょっとしたことでも訪問をしていたようです。だから、引継ぎのときが大変で、C社からは「今までやってもらっていたのにどうしてやってくれなくなるのか」「会計事務所をもっとサービスの良いところに変える」とクレームの嵐となりました。聞くところによるとBさんとC社の担当者は公私ともにお付き合いをしていたそうです。
配置転換をしない中小企業
中小企業はいいように言えば、「少数精鋭」、悪いように言えば、「人手不足」です。ですから、優秀な人、間に合う人に仕事が偏ります。その結果、優秀な人にますます頼ってしまい、その人にしか仕事がわからない、できない状態に陥ります。「担当を変えると顧客満足に反するから」「担当を変えると業務が円滑にまわらないから」ということで中小企業は配置転換や担当替えを避けますがそれは違います。個人事業主の集まりが企業ではありません。企業はどのような状態になっても安定的な商品やサービスを提供できる体制しておく必要があります。つまり、「金太郎飴」のようにどこを切っても同じにしておく責任があります。辞められてバタバタするほうが顧客の利益に反します。
中小企業に専門職はいらない?
中小企業に専門職はいらない、というのは極論ですが、この専門職というのがクセものです。大企業であれば、専門職制度がどの企業にもありますが、大企業の専門職には必ず代替要員がいます。一方、中小企業の専門職はオンリーワンでしょう。専門職というのは仕事が高度であり、誰にも口出しができず、仕事の評価もできないため、結局、その専門職の人の言いなりになります。万一、辞められたら大変です。でもよく考えて見ると、本当に職人技のようなものもあるでしょうが、多くの仕事は簡単な業務の組み合わせのはずです。会社は専門職の人に「もっと仕事を棚卸し、仕事を後輩に下ろしてほしい、仕事を部分的にでも後輩に教えてほしい」と口酸っぱく言い続けるしかありません。
配置転換を2年に1回実施しよう
中小企業においても、配置転換を積極的に行うべきです。1年に1回は現実的に難しいにしても2?3年に1回は行うべきです。会社は、「いつ配置転換や担当替えになってもいいようにファイルは誰にでもわかるように整理しておくこと」「引継ぎが円滑にできるような引継ぎマニュアルを作成しておくこと」等を方針として出しておきます。配置転換によって、今まで進まなかった「標準化」や「多能工化」を「やらざるをえない」仕組として機能させるのです。配置転換を実施しても、前任者が社内に在籍していれば、引継ぎ後のちょっとしたトラブルも円滑に解決ができます。
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