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退職金積立を“見える化”しよう

当たり前のことですが「退職金」は賃金や賞与と同様に、与えられるものではなく、天から降ってくるものでもなく自ら稼ぎ出すものです。しかし、従来の退職金制度の作り方では、従業員にその意識は植え付けることはできません。多くの会社が税制適格年金や厚生年金基金などの企業年金をやっていますが、その制度の存在を知っている従業員はほとんどいません。福利厚生の生命保険をかけていてもいつのまにかそんなことは忘れてしまうものです。昇給がままならない時代に、こんな費用対効果の悪い人件費の使い方はないのではないでしょうか。そこで私は「労務管理効果」にこだわり、退職金の積立の掛け金を“見える化”した退職金制度をつくることを提案したい。具体的には、1) 中小企業退職金共済を確定拠出的に活用する、2) 401K(確定拠出型企業年金)を活用する、というものです。

退職金の前払いはダメ
大企業が「退職金の前払い制度」を導入しましたので、関心のあるオーナー社長も多いようです。しかし、私は退職金の前払いには反対しています。その理由は、一つには辞めるときに必ず退職金もないのかーという意識になるからです。前払いはすぐに「月例賃金」という意識にスリ変わるのです。「給与が高かったのだから退職金はそれに含まれていた」という理屈はイザいろいろな理由で退職していく従業員には説明がしにくいものです。さらに一つには、退職金の前払い分は給与とみなされますので、所得税や社会保険料も余分にかかってしまうということです。特に社会保険料は今後毎年アップします。前払いはそのアップ額に拍車をかけてしまいます。

中退共活用確定拠出型
「確定給付型」というのは、従来の退職金のパターンです。将来の給付を約束し、その積立及び運用もすべて会社が責任を持つというものです。一方、「確定拠出型」というのは、毎月の掛け金だけを会社が約束し、その運用状況については会社は責任を持たないというものです。そこで、中小企業退職金共済を「確定拠出型」として活用することを提案したいと思います。中小企業退職金共済の掛け金は5000円から2000円刻みで30000円までの範囲で自由に設定できます。たとえば、一般従業員は毎月の掛け金を7000円とします。課長になったら毎月の掛け金を14000円に増額します。部長になったら22000円に増額します。降格になれば当然掛け金も減額されます。中退共の金利が現在1%ですので、金融商品としてはまったく魅力がなく、利回りによるアップは期待できません。ですから、定年退職や永年勤続で特に功労のあった従業員には。業績資金繰りに応じてその都度のキャッシュで「功労金」を支給することで対応します

中退共の掛け金を“見える化”しよう
中退共の掛け金は賃金ではありませんので、本来「賃金明細」には記入してはいけません。しかし、私は毎月の賃金明細の「備考欄」「コメント欄」に「中退共7000円」とか「中退共14000円(課長)」と記入することを提案したい。中退共掛け金も従業員にとってみれば、社会保険料や所得税のかからない、かつしっかりと保全された「賃金」そのものなのです。つまり、「実質賃金」を賃金明細に反映させたいのです。また、これから若年層の求人がますます困難になります。したがって、採用時にも労働条件をできるだけ“見える化”します。「初任給20万?25万円(この他に退職時に支給の共済掛金を毎月7000円?22000円の範囲内で会社負担します)」と記入します。

401Kを活用した“見える化”
退職金の掛け金を“見える化”するためのもう一つの手段は確定拠出型年金(401K)があります。これはその名前のとおり、「確定拠出=毎月の掛け金が確定している」ことと「年金=60歳以上の老齢年金の上乗せ」ということです。この401Kは毎月会社が負担している掛け金が指定口座に貯まっていき、それを本人が責任を持って運用していくわけですから真剣に注目せざるを得ません。その運用を通じて世の中の経済の動きを知ることになるので各人の視野を広げるためにも有効でしょう。

401Kの社会的ニーズはますます広まる
国会等で議論されている「年金一元化」は最終的には「国民年金+α」となることを意味しています。厚生年金はすでに破綻状態ですので、厚生年金は大幅減額(場合によっては廃止)になることは確実です。厚生年金をたくさん払っている人ほど大きなしっぺ返しを食うのが今の年金制度の見通しです。今後は自分でつくる年金に関心を持たざるを得ず、国は401Kを普及するためにさまざまな施策をとってくると思われます。

 

 
 
 

 

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