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講演内容の一部を以下にご紹介します。

会社には「コアとなる従業員=長期育成型従業員」と「コアとならない従業員=短期成果発揮型従業員」がいます。コアとなる従業員のみが正規従業員で、コアとならない従業員は契約従業員・パートタイマーにドンドンと置き換わっているのが現状のようです。今回は、終身雇用を前提としたコアとなる従業員、なかでも製造業・卸売業を主とした正規従業員のためのこれからのデフレ時代の賃金管理のあり方を提案したいと思います。

5〜7年前は人材過剰、今は深刻な人材不足

毎日、中小企業の賃金明細を拝見している労務コンサルタントですから、その賃金明細を通して、その会社の10年後が心配になることがあります。特に製造業の場合、その従業員の年齢構成があまりにも高齢化している会社をお見受けすることがあります。その原因は、以前は行っていた学卒の人材募集も取りやめ、若手の人材獲得を意図的に実施してこなかったことです。確かに5〜7年前は過剰な人員と高止まりしたベテラン従業員の賃金水準に頭を悩ませてきました。しかし、事情はこの数年で一変しました。多くの中小製造業では、会社の発展のための次代を担う若手人材の粒が圧倒的に不足しているのです。

人材の確保・定着のためには賃金の抜本的改革が必要

人材の確保・定着のためには、@合理的な賃金決定方法で、Aライバル会社に負けない初任給を提示すること、が必要です。合理的な賃金決定方法とは、新規採用者の賃金決定はもちろんのこと、「今在籍している従業員の賃金も合理的に決定されているか」というチェックが必要です。場当たり的に初任給を提示していては、仕事を教えている先輩従業員の賃金が新米従業員の賃金より低額になっている、などおかしなことが起こってしまいます。また、いくら実力主義で社内バランスが保たれているとしても、ライバル会社(又はその地域の企業)に比して初任給が見劣りするようでは、良い人材を獲得することができません。これから益々良質な若年労働力が確保しにくくなります。不用意な人件費アップは避けなければなりませんが、合理的でかつ整合性のある処遇改善に真剣に取り組むことが会社存続の条件となっていることは間違いありません。


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これからの中小企業の賃金管理の5原則

合理的な賃金決定とは以下に掲げる「賃金管理の5原則」を遵守することです。

賃金管理には原則があります。その原則とは、
原則その@:しっかり昇給し、ソコソコ安定した生活を保障しよう
原則そのA:同一仕事レベル・同一賃金の賃金カーブを描こう
原則そのB:幹部には手厚く報い、ホドホドの緊張感を持たせよう
原則そのC:賃金バランスを配慮し、適切な“階段”を設けよう
原則そのD:法律をしっかり守ろう

原則その@:ソコソコ安定した生活を保障しよう

(これではダメだ!年収は高いが不安定なA社の賃金)
A社は従業員50名の呉服販売業。業界は“斜陽業界”と位置づけられ、マーケットはどんどん縮小しています。危機感を抱いた3代目のB社長はここ2年間で、退職金制度を廃止し、人件費を変動費化するために「業績連動型の賃金体系」を作り上げました。労働分配率(人件費÷粗利)を33%と決めており、月額の固定給は年齢を問わず16万円〜20万円でした。

B社長が深刻な面持ちで、ご相談に来られたのは、将来の幹部候補として期待していた、20代の従業員2名と30代前半の従業員1名の突然の退職がきっかけでした。

勉強家のB社長は、自社の賃金体系がどれほど素晴らしいかを力説し、業界組合が出している年収統計を持ち出し、それよりもはるかに自社賃金が上回っていることも強調されました。

退職したCさん(28歳)の2004年の賃金は以下のようなものでした。
月例賃金:19万円×12 =228万円
業績賞与:100万円+120万円=220万円
決算賞与: 50万円 合計498万円

賃金構造基本統計調査 京都府 中小企業(従業員10名〜99名)の28歳の年収平均は、残業代と通勤手当を除いて「296万3200円」となっています。この水準からすると、いち営業マンであるCさんの年収水準は大変高額といえます。
しかし、Cさんの退職時にもらしたホンネは以下のようのものでした。
「業界の将来が暗い」「今はいいが、家族を養っていくには不安がある」「数字をあげるための長時間労働に耐えられなくなった‥」などなどでした。

(A社の事例から学ぶ)
@ 従業員は安定して生活していきたい
従業員がホンネで望んでいるのは「安定した生活を送りたい」です。たとえ、賃金水準が一時的に高くても、来年はその半分になる可能性があれば不安でたまりません。少なくとも月例賃金は生活の安定を保証する水準でなければなりません。Cさんのように28歳で扶養家族がいるのに固定給が19万円はやはりダメでしょう。

A 極端な成果主義(結果主義)は疲れ果てる
A社のような賃金体系では、今後同様の退職者が発生します。数字が上がらない人も退職していきますが、むしろ、数字を上げる有能な人が退職するはずです。それは、一度上がった年収レベルを維持するため、また、会社の期待に応えるためにはさらに成果を追い求め続けなくてはいけないからです。そのような上昇志向があり、ハングリー精神を持ち続けられる人がどれだけいるでしょうか。普通はその仕事の仕方に疲れ果ててしまい、一度リセット(退職)したくなるのです。特に高い成果を上げている従業員はその成果発揮度合いの「ピークで退職」するようです。

B 社長は明るい将来を描いて逆算して手を打つ
私は、B社長が業界に対して不安を持っており、売上もジリ貧だと決めつけておられるようにお見受けしました。その不安は痛いほどわかりました。その心持ちは全従業員に伝わっていることは間違いありません。その消極的な経営姿勢が上記のような極端な歩合要素を含んだ賃金体系として現れたのです。しかし、“業績は経営者が決めるもの”です。「今はこうだが、将来こうしたい」と決めるのです。そのうえで、その志・ビジョンを実現するための人事・労務・賃金はいかにあるべきか、を真剣に問うのです。あるべき姿(ゴール)から逆算してありとあらゆる手を打つのです。命がけでやってみて、ダメなら仕方がないではないですか―それが経営の覚悟です。

(ソコソコ安定した生活ができる20代賃金モデル)
安定した生活といいますが、どのような賃金カーブを描けば良いでしょうか?それを考えるには「夫30歳 妻 子供1人 賃貸マンション住まい」の従業員の生活費はいくらぐらいかを知る必要があります。・・・・・・・・・・

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