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中小企業の社員研修方法(その@)
─簡単で、安価で、継続できるシステムを作り出せ!─


中小企業でしっかりとした研修プログラムを持ち、それを継続できている会社はほとんどないように思います。社長が研修の重要性を認識し、率先して講師を勤めておられる場合は継続できていることが多いようですが、社長も多忙のため、いつの間にか研修をしなくなっているとの話も聞きます。それはなぜかと言えば、「研修がおもしろくない」「講師(社長)の時間が取りづらい」「外部に委託する場合はコストがかかる(費用対効果)」「本社、支店がバラバラなので実施しにくい」「シフト制なので全員が集まれない」などなど、研修が続かない理由を挙げればたくさんあります。私は、研修効果は何で決まるかと言えば質より量だと考えます。量とはつまり、「何が何でも継続する」ということです。そこで私は中小企業が身の丈で効果的な社員研修を継続するためのシステム作りを提案したいと思います。具体的には、@自社流クレドを作る、A2ヵ月に1回“良い会社”のビデオを視聴する、というものです。


(中小企業の研修 社員のホンネ)
多くの中小企業で過去に何らかの研修を実施して、理由もなくウヤムヤにその研修を止めていたというケースがあるのではないでしょうか―。そのようなことが複数回、過去にあると、社員は何か研修など新しいことを始めても、「どうせ長続きはしない。思いつきだ。適当にやりすごそう」と思ってしまいます。つまり、舐められているのです。研修で大切なことは継続です。継続は力なりです。中小企業において、そのときに必要なのは、簡単で、安価で、継続できる仕組みなのです。

(研修には2種類ある)
私は研修には2種類あると考えています。一つは「理念・価値観徹底型の研修」(以下、「理念研修」)。もう一つは「仕事の技能に関する技能研修」です。後者は次号に譲りまして、今回は前者について提案いたします。

明治時代から昭和時代前期において、小学校と国民学校で設けられた教科に「修身」というものがありました。修身は第二次世界大戦後の道徳の時間に相当するものですが、大日本帝国の国民育成を目的に行われ、筆頭教科に位置づけられ、皇民化教育のベースとなっていました。しかし、敗戦後、GHQが軍国主義教育の諸悪の根源とみなし、授業を停止する覚書を出してその役割を終えました。

しかし、私は軍国主義化という活用の仕方を間違っただけで、この「修身」というベース教育は今の日本に最も必要なものだと考えます。「修身、斉家、治国、平天下」という言葉もあります。日本文になおすと、「身修まってののちに家ととのう。家ととのってのちに国治まる。国治まってのちに天下平らかなり」となります。つまり、修身によってのみ家がととのい、国は治まり、天下がととのうということです。修身教育、道徳教育の重要性を示した言葉です。

これは企業においても同様です。企業にとっての修身教育が理念研修にあたります。理念研修、理念を教育する場がないと、何をしてもダメだということです。第一のボタンがしまらないと第二のボタンがしまりません。理念教育なしに方針を訴えかけても、また、外部研修に派遣しても穴の開いたバケツに水を入れるようなものです。

(理念研修の第一ステップ:自社流のクレドをつくろう)
人の受け取り方、心の動き方は当たり前ですが、100人いれば100通りです。各人の理念、価値観が違うからです。その価値観が共有できないために、常に同じ間違いを繰り返すことがあります。ベースが違うのでサッパリ伝わらないのです。

理念研修をするにあたり、大変参考になるのが、ホテル「ザ・リッツ・カールトン大阪」の「クレドカード」と「ラインナップ」という仕組みです。すべての会社はこの手法を置き換えて実践すべきだと思います。

クレドとは「信条」という意味で、クレドカードには自分達の価値観、行動指針が20項目くらい書いてあります。このクレドカードは服装規定で、毎日携帯するこということになっています。つまり、これを携帯することなしに働いてはいけないのです。1番目は以下のようなものから始まります。『クレドは、リッツ・カールトンの基本的な信念です。全員がこれを理解し、自分のものとして受け止め、常に活力を与えます』

クレドの14番には、『「いつも笑顔で。私たちはステージの上にいるのですから。」いつも積極的にお客様の目を見て対応しましょう。お客様にも従業員同士でも、必ずきちんとした言葉づかいを守ります。(「おはようございます」「かしこまりました」「ありがとうございます」など)』

17番には『リッツ・カールトンの電話応対エチケットを守りましょう。呼出音3回以内に、「笑顔で」電話をとります。お客様のお名前をできるだけお呼びしましょう。保留にする場合、「少しお待ちいただいてよろしいでしょうか?」とおたずねしてからにします。電話の相手の名前をたずねて、接し方を変えてはいけません。電話の転送はなるべく避けましょう。また、ボイスメイルのスタンダードを守りましょう。』

18番には「自分の見だしなみには誇りを持ち、細心の注意を払います。従業員一人ひとりにはリッツ・カールトンの見だしなみ基準に従い、プロフェッショナルなイメージを表す役目があります。」

などなど「考え方、道徳的な指針」+「具体的行動指針」が示されています。

(オーナー中小企業のクレドの作り方)
最初はシンプルでも構わないので、自社のクレドを作成することをお勧めします。その作り方は、まず、社長が何度言っても改まらない事項、日ごろ不満で仕方がない事項を書き出します。例えば、「何度も同じミスを繰り返す」「指示したことが放置されている」「部下や後輩を育てない」「みんな指示待ちである」などなどです。次にこれを解決するための行動指針を社長の都合で書き出します。行動指針は「〜してはいけない」というネガティブな表現ではなく、「〜しよう」「〜努めよう」というポジディブな表現にして下さい。ここで数にこだわる必要はありません。私の顧問先では5つ〜10つ程度から始める会社が多いです。3つぐらいでもOKです。次に社長のたたき台ができたら、社員に意見を求めます。追加で社員が考える行動指針もクレドに盛り込んでいきます。社員に意見を求めるプロセスは必ず経て下さい。

はじめから完璧を求めてはいけません。まずは作って、走りながら追加修正をしていくことです。あのリッツ・カールトンも毎年、コアの理念は変わりませんが、行動指針は追加や改定を加えています。

(理念研修の第二ステップ:継続徹底の仕組みづくり)
リッツ・カールトンにはそのクレドの浸透のための素晴らしい仕組みがあります。それが朝の朝礼、「ラインナップ」と言われるミーティングです。毎朝6人程度のチームで行われ、クレドを1項1項読み上げていきます。たとえば、今日のクレドは3番で、◎◎さん読んで下さいとリーダーが指名します。読み終えた後、その項目についての、自分の感想、意見、経験したことなどを発言します。他の人もそれについての意見や感想を述べます。特にリーダーは必ずその意見に共感するコメントを述べることとします。
リッツ・カールトンはこのラインナップを365日毎日やっています。クレドが20項目だと、1年間に同じ項目で18回程度は繰り返すわけです。

話は少し変わりますが、以前、京都の急成長・優良企業、ワタベウェディングの渡部社長様のお話をおうかがいする機会に恵まれました。理念や行動指針の浸透に、ありとあらゆる手段を使っておられることに驚きました。具体的には、ラインナップのような朝礼はもちろんのこと、「理念を伝える歌をつくる」「給料袋に理念を入れる」「会議の前で理念を確認する」「理念の勉強会を開く」「誕生日会の前に理念を唱和する」などなど、まさに“これでもか!”という理念徹底の機会と場をつくって実践しておられました。

大切なことはこの継続徹底・繰り返しです。つまり、量稽古です。理念・行動指針を目で見る、聞く、口にする、それについての意見を言う、解釈する、他人の行動に共感することで、“腹に落ちる”のです。いかに自社流の“良い洗脳”ができるかが勝負となります。

(簡単・便利・おもしろいビデオ研修をはじめよう)
経営の最大の危機とは、「危機を危機と感じないこと」です。つまり、会社が「ゆでガエル」になってしまうことです。「ウチの会社は潰れない」「オレ達は十分頑張っている」「業績の低迷は景気が悪いからだ」などなど。社長は、会社が「ゆでガエル」集団にならないように、常に組織に新鮮さや刺激を与え続けなければなりません。

そこで私は、理念研修を常に新鮮なものとするために、2ヵ月に1回、エクセレントカンパニーのビデオを全社員で視聴することをお勧めしたい。エクセレントカンパニーとは企業業績と企業文化が高いレベルで維持できている企業のことです。つまり、簡単に言えば、“良い会社”のことです。

その研修で活用していただく、お勧めのビデオは株式会社ブロックスの「DO IT!」というビデオマガジンです。価格も1本1万円と割安です。ドキュメンタリー形式ですので、社員全員で優良企業に見学に行ったような効果を得ることができます。このビデオマガジンは2ヵ月に1回発刊されます。「DO IT!」の案内(Q&A)を以下に抜粋します。

 

(ここから)

Q:どんな企業を取材していますか?
A:DO ITで取り上げる企業は、不況の中でも、競争の中でも、着実に業績を伸ばして
いる元気な企業ばかりです。業種や規模は様々ですが、どの企業も他社を圧倒する独自性を持ち、社員一人ひとりが夢を持ち、自立的に主体的に働いている元気な企業です。もちろん、お客様本位の企業姿勢は言うまでもありません。お客様から支持され、社員からも支持される元気な企業を取材しています。

Q:どんな内容ですか?
A:これまでのビジネスビデオは「マニュアル」や「ハウツー」ビデオが主流でしたが、DO IT!は見る人の心に訴求する「ドキュメンタリー映像」にこだわっています。経営者へのインタビューや様々な経営活動、社員の声やお客様へのインタビューも交えて、「感動の瞬間」をリアルにお伝えしています。各巻の収録時間は40分〜60分程度。見応えたっぷりの「真実のドラマ」です!

Q:どんな風に活用されていますか?
A:DO IT!を社内で活用していただいている企業は全国に1万社以上!社員研修や勉強会、会議の時間を使って社員教育にご活用いただいています。ただ、「見る」だけではなく、視聴後にそれぞれが「気づいたこと」を話合うことで、さらに研修が活性化します。また気の合う仲間同士で視聴会を開催し、部門の壁を越えた仲間作りを進める企業も増えています。仲間と一緒に見ることで、社内の対話が広がっていきます。

(ここまで)


(DO IT!のビデオ活用のメリット)
(その@):映像だから伝わりやすく頭に残る
若年層になればなるほど、映像による感覚で物事をとらえる傾向があります。社長が企業見学に行った後に社員にその光景を話すよりも、百聞は一見に如かずで、ビデオを見せたほうが格段にその言わんとするところを伝えることができ、かつ、社員の心に残すことができます。

(そのA):場所と時間の制約がない
社員研修会で困るのは日程と場所の調整です。特に365日、24時間営業の会社はシフト表でまわっていますので、全員一同に集まることは不可能です。また、全国に支店や営業所がある会社はどこか1ヵ所に集まることは時間的にも費用的にも大変です。しかし、ビデオというメディアを活用することで、ビデオデッキさえあれば、時間と場所の制約はありません。ですから、今月このビデオを全社で見ると決めればそれが可能となります。正社員だけでなく、パートタイマーにも視聴していただくと良いでしょう。

(そのB):高いレベルを見る、視野を広げる、目線をあげる
たとえば、製造業で一つの工場に20年くらい勤務し、右肩上がりの良い時代を経験し、それほど変わらない仕事を続けてこられた社員さんは、その視野が狭くなってしまうことがあります。しかし、世の中の流れはすさまじく、低成長時代では競争はさらに激化します。ビデオで取り上げられている高いレベルの企業の取り組みや勤務姿勢を真摯に受け止めることで、視野を広げ、「あのようにイキイキと働きたい」「ウチの会社(自分)はまだまだだな」などの「気付き」が生まれます。

(そのC):社内で共通語、共通認識ができる
社内でコミュニケーションをとるときに、「この前ビデオで見た◎◎会社の感謝カードのようなものだ」とか「○○会社の店長のような元気が必要だ」とか「△△会社の社是で挨拶と報連相とあったように‥‥」など、共通のビデオ視聴体験を持つことでコミュニケーションがとてもやりやすくなります。たとえば、もっと進んで、「ビデオで見たリッツ・カールトンの心と技と仕組みを置き換えて、パーソナルサービスを磨き上げよう」というように1社を深堀りしてベンチマークするということもできます。

(そのD):お金やテマヒマをかけずに継続できる)
社員はいろいろなことと実施してもすぐに飽きます。そして、すぐに忘れます。ですから、研修は工夫をして継続する、繰り返すしかないのです。

『社員教育とはお風呂に入れることだ』という名言があります。

お風呂は、熱すぎても入れないし、ぬるすぎては出るに出れません。3日前にお風呂に入れたから、当分入らなくていい、というわけにはいきません。毎日入るのがベターです。また、お風呂の水も毎日同じというわけにはいかず、毎回換えるのが理想です。お水を換え(退屈しないように変化を持たせ)、適当な温度にして(肩の凝らない程度にして)、毎日(継続して)湯に入れてあげる必要があるのです。

ビデオマガジンを活用すると、定期的に送られてきて、事前準備がいりませんし、内容も毎回異なりますので、ある程度おもしろく、変化があり、継続も容易なのです。

(ビデオ研修の進化ステップ)
ビデオ研修をするにあたってはステップを踏む必要があります。
<第一ステップ:まずは視聴するだけ+一言コメント>
第一ステップは、まず「みんなで視聴する」ことに意味があります。最初は自分達に身近なもの(同業やよく行く店舗など)が良いでしょう。まずはビデオの内容に興味を持ってもらい、おもしろさを感じてもらいます。

できれば、この段階からビデオを見た感想を些細なことでいいのでコメントしてもらいます。「すごい会社だなー」「社員さんがイキイキとしていた」等、感覚的な発言に終始することが多いですが、発言すること自体に意味があります。

<第二ステップ:グループ討議+自社への置き換え>
第二ステップは半年から1年後経にやってきます。グループ討議でビデオの中で良かったところ、印象に残ったところを意見し合います。そして、その中で自社がより良い会社になっていくために、一つでも置き換えて取り入れたい、実践したいことを討議します。簡単なことでも良いので、実行策と担当者を決めて次回のビデオ研修時にその進捗を報告してもらいます。できれば、最初はES(従業員満足)の側面から、社員のリクレーションや親睦、コミュニケーションを深める内容がお勧めです。

 

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