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福田秀樹のWEBコンサルティング会社を守る労働法務対策

Q

能力不足の社員に辞めてもらいたいと考えています。注意点はありますか?

A

能力不足の社員の解雇は実に難しい問題です。裁判官は能力不足についてはほとんど認めません。能力不足の客観的な立証は困難だからです。つまり、労働法の世界では能力不足で解雇が許されるのは"著しく"能力が劣り、会社において置くことができないレベルとなっています。経営者が気にする「給料分稼いでいない」という事実は、裁判官はほとんど関心を示さないのです。

 

有名な判例によると、労働者の能力不足による解雇について、就業規則の解雇事由の解釈を、他の解雇事由との権衡を考慮して、極めて限定的に行うべきとしています。

 

具体的には、労働能率が「著しく」劣る場合でなければならないし、相対評価による考課順位だけからの判断であってはならず、また「向上の見込みがない」場合は、体系的な教育や指導によって、労働能率の向上を図る余地があれば、これに該当しない、としています。

 

職種を限定していない正社員として採用された場合には、特定の職種について能力が発揮できなくても、別の職種であれば能力を発揮できる可能性があると指摘されます

 

正社員については、職種限定の契約を締結している場合を除き、会社に広い範囲の配転命令権があるのが通常なので、解雇を回避するために配転措置を講ずることが求められます。

 

また、会社が人事考課制度を採用していて、本人がABCのCの評価を連続してとっていると、会社側は主張されるが、それで能力不足の判定をしてくれるかというと、裁判所では実にいろいろな難くせがつきます。

 

そもそもC評価は相対評価で必ず発生するのでは?

評価基準が曖昧では?

評価をする評価者自身に問題がありますね。

人事評価者訓練はやっていますか?

営業成績が上がらないというが、元々成績があがらないエリアでは?

会社の教育指導が足らないのでは?

平均より能力が不足しているのはわかりますが、解雇は厳しすぎますね。

貴社のような会社なら配転して別のところで働く場所を確保できるでしょ。

 

つまり、事実上、能力不足を立証し、解雇有効の判決を勝ち取るのは不可能なのです。

 

したがって、会社は能力不足という解雇事由はできるだけ避け、異なる解雇事由(業務命令違反、服務規律違反等)に該当し、始末書を複数回とっても改善の見込みがないとしてお辞めいただくか、裁判例が示すように、配転はもちろんのこと、体系的な教育指導により、もうこれ以上改善の見込みがないと判断される状況をつくる必要があるということです。

 

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