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福田秀樹のWEBコンサルティング稼ぐ組織づくり

Q

小売店です。女性従業員が多く、最近育児休業や育児短時間勤務の権利を強く主張され、困り果てています。

A

会社は女性従業員が持っている法的権利をよく知ったうえで、会社の立場を伝えて「交渉」すべきです。権利を侵害する強要はできませんが、協議・指導・交渉はできるのです。優秀な女性や会社が大切にしたい女性従業員ほど、会社の立場も考えて休業、復帰等を考えてくれるものです。

 

人を動かすには一般的には2つあります。「命令」と「迎合」です。命令とは、「ウチは育休など認めることができない、辞めてくれ」、これは明確な法違反です。また、迎合とは「育児休業は1年間バッチリ取らせて下さい。たぶん、この調子では1年半取らせて戴きたいです。また、復帰後は店の都合もあるでしょうが、私の都合は1日6時間勤務で、土日は必ず休みますのでよろしく!それと残業なんてもちろんできませんよ」に対して、ため息をつきながら、すべて認めるというものです。

 

「命令」と「迎合」の間にもうひとつの人を動かすキーワードがある。それが「交渉」です。

 

まず、法律の整理からします。

 

①    社員は1歳に満たない子を養育するために育児休業を取得することができる。また保育所に入れない等特別の事情があれば1年6ヶ月まで育児休業を延長することができる。

 

②    社員は3歳に満たない子を養育するために1日6時間まで時短勤務を申し出ることができる。また、子が小学校に入学するまでは時間外労働について制約がある。(したがって、当面の間、半人前の労働力しか期待できなくなる。その間、他の社員にしわ寄せがいく。)

 

③    妊娠又は出産したこと、産前産後休業又は育児休業等の申出をしたこと又は取得したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない(男女雇用機会均等法第9条第3項、育児・介護休業法第10条、違反の場合、厚生労働省から勧告、従わない場合は企業名公表)とされている。また、産前産後の女性については、産前6週間・産後8週間及びその後30日間は解雇できない(労働基準法第19条、違反の場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)。したがって、一方的に解雇したり、不利益な取り扱いをすることはできない。

 

上記のように従業員は育児休業や育児短時間勤務を取得する法的権利を有しており、企業はその権利を侵害し、法令に違反してはなりません。

 

しかし、その権利を濫用(顧客・会社・同僚・上司等のことを無視した言動)は許さない姿勢も一方で必要ではないかと考えます。

 

会社としては、申し出があった事案について、すべて社員の都合をそのまま受け入れるのでなく、会社の都合を本人に充分に説明し、育児休業期間の長さや育児短時間勤務の可否を交渉すべきです。つまり、権利行使に対して会社の都合を十分に説明し、本人の最大限の努力を引き出す。

 

   ・育児休業は1年ではなく半年で戻ってきてくれないか?

   ・職場復帰後はフルタイム働いてくれないか?

   ・繁忙期●月と●月は残業をしてくれないか?

   ・とりえず1年間休業してから今後のことを考えるというが、要員計画が立たないのでそれはやめて下さい。等

 

これは年次有給休暇という法的権利と同様で、年次有給休暇は本来取得の3日前に申請すれば企業に若干の業務上の支障があっても取得することができるのです(最高裁判例)。しかし、中小企業において、年次有給休暇を全員が3日前に申請し、全員が新入社員は10日、ベテランは20日取得すれば、企業は運営できなくなるのは承知の通りです。

 

会社が都合を言えば、「マタハラだ!」と言う声があがることも多いようですが、最近、一部の女性従業員の中に、会社の都合など一切考えずに、「権利だから当然だ」というような会社への配慮のない言動をよく見聞します。

 

企業は顧客満足及び企業存続・発展をかけて、「経済戦争」という企業同士のつぶし合い、「競争社会」の真っただ中にいます。優れた者が勝ち、劣った者が敗者となり、即刻退場して消えてなくなります。毎日の業務が終れば反省し、間違いは厳しく正し、常に甘えることなく磨きに磨きをかけ、もうこれでいいだろうという際限はなく、改善し続けなければならない。人間中心の経営、人に優しい経営は理想ですが、このような経営の厳しさをまず理解したうえで、労使がお互いに納得のできる運営をしたいものです。

 

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