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福田秀樹のWEBコンサルティング会社を守る労働法務対策

Q

身元保証書はとったほうがいいですか?

A

 

絶対に取りましょう。身元保証人は労働者が何らかの損害を会社に発生させた場合にその損害を補償させるものという認識が一般的です。もちろん、損賠賠償責任も負ってもらうというのは重要な目的です。

 

しかし、現実の労務では以下が重要と考えています。

 

その1 

会社と社員がトラブルに陥った場合に間に入ってもらうため

              (そのために勤務先を記入してもらう)

 

その2 

健康に働くことができる、企業秩序を遵守して働くことができる人だということを人物保証してもらうため

 

 

(実際に遭遇したこんなケース)

A社は数店舗を経営する美容院です。ちょうど1年間勤務したB子が退職した後に事件は起こりました。退職後1週間後にB子から「時間外労働請求書」なるものが社長のもとに届いたのです。その労働時間数はタイムカードの始業・終業時刻を労働時間ととらえて計算したものでした。社長はカンカンになって怒りました。「早く1人前の美容師になってもらうために一生懸命遅くまで研修した、その時間まで残業代をよこせとは何事だ!」ということでした。給与を聞いてみると月額18万円払っていました。この給与は見習い美容師としてはとても高額です。もちろん、B子は労働基準監督署にも駆け込んで社長は出頭を求められました。監督官は「研修時間も含めて労働時間です。払って下さい」とだけ言い放ちました。

 

数日後、B子の関係資料を眺めているとB子の身元保証人(お父さん)の勤務先が書いてあり、某大手企業の子会社の役員さんであるとわかりました。ダメもとで一度、連絡をとって間に入ってもらおうということになりました。

 

B子のお父さんは早速、A社にお見えになりました。社長は誠実に事の経緯を話しました。するとお父さんは「こんなことになっているとは知らなかった。もっと娘はまともにやっていると思っていました。今回のことは誠に申し訳ありません。」と逆に深く頭を下げられました。

 

(ココに労務問題解決の真髄がある)

法律論の前に良識論があります。A社の社長はお金の問題というより、"とにかく納得がいかない"ということでした。美容業界の常識があるのです。法律論では残業代を払うしかない、以上終わりです。しかし、良識論の解決策もあることを知ってほしい。身元保証人に何かあったときに話のできる人であれば間に入ってもらうべきです。退職後の残業代請求、退職後のセクハラ訴え、問題行動、横領...、このような場合、本人とは話しができない状態になります。だからといって、すべて法律論でやると会社が割りを食うことが多い。最高の解決策は話し合いなのです。

 

 

(身元保証に関するQ&A)

福田事務所によくお問い合わせをいただく質問を以下のとおりまとめてみました。

 

Q 身元保証とはそもそも何ですか?

A 「身元保証をとる」とは身元保証契約を結ぶことです。身元保証契約とは、労働契約に付随して将来の労働者の債務不履行・不法行為から生じる損害について、労働者が債務を負担する場合には身元保証人がその損害賠償債務を保証することを約束する契約です。

 

Q 身元保証とは連帯保証のことですか?

A 違います。身元保証に関しては「身元保証に関する法律」によって存続期間、使用者から身元保証人への通知義務、身元保証人の契約解除権、保証責任の限度等を規定しています。連帯保証と違って、身元保証に関する法律は身元保証人が長期にわたって予期しない莫大な賠償を負わされる危険がないよう、身元保証人の責任の軽減を図っています。

 

Q 身元保証人の責任の範囲はどこまでありますか?

A 身元保証書には「本人の故意又は過失により会社に生じた一切の損害を保証します」と記載されるなど、身元保証人に広範な責任を負わせる形式となっていることが多くあります。しかし、身元保証に関する法律は以下のような制限を設けています。

 

  1. 期間:身元保証契約期間は5年を超えることができず、これより長い期間を定めても5年に短縮されます。期間を定めなかったときは3年が有効期間とされます。

  2. 更新:身元保証契約の更新は、更新時より5年を超えることができません。また自動更新の定めは無効となります。

  3. 損害賠償金額:身元保証人の損害賠償責任は使用者の過失の有無、身元保証を引き受けるに至った経緯、身元保証人の注意の程度、労働者の任務・身上の変化等一切の事情を考慮して裁判所が決定します。

  4. 強行法規:(1)~(3)について、身元保証人にとって不利な特約をしても、その特約は無効とされます。

     

    Q 実際にいくらぐらい損害賠償が求められた判例がありますか?

    A 裁判において身元保証人の損害賠償責任が争われた場合、通常は全額の賠償を求められることはありません。結論から言うと、認められても損害額の2~3割程度ではないかと思われます。損損害賠償金額はケースバイケースで判断され、具体的には使用者の監督体制、使用者の身元保証への関心度、身元保証人に対する責任の重要性の説明の有無、身元保証人の資力、身元保証人と労働者の親密度等の要素等を検討して賠償額が決定されています。使用者は身元保証人の責任に変更が生じるような場合にその事実を通知する義務を負っていますが、この通知を怠った場合は身元保証人の賠償責任を軽減する事情として考慮されています。

     

    Q 身元保証人が自筆で署名していないものは有効ですか?

    A 身元保証人が知らないところで、たとえば労働者本人が署名していた

    ものは当然無効です。身元保証書を重く考える場合、会社は身元保証人の本人確認を行う、印鑑証明書を添付させるなどの運用が必要となります。

     

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