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福田秀樹のWEBコンサルティング人事評価と給与制度づくり

Q

2015年 中小企業の賃上げ実態

A

 2015年春の労使交渉では、政府からの強い要請を背景に「ベースアップ」に踏み切る企業が大幅に増えたと報道されています。しかし、新聞報道は円安のメリットを受けたほんの一握りの上場企業であることに気づきます。

 

しかし、中小企業は大手企業とはその様相はガラリと異なっています。

 

「賃上げ」という言葉が頻繁に聞かれ、これは「賃金を上げること」なのですが、マスコミは「ベースアップ」の意味で使っています。某大手企業の「賃上げ」が4,000円だったとします。これはいわゆる「ベア」です。ベアとは賃金表の書き換えですから、老いも若きも、成果の上がっている人も上がっていない人も4,000円アップするということです。その場合、定昇(定期昇給)部分は別に加算されるわけです。つまり、ベア4,000円+定昇6,000円=合計10,000円の昇給ということです。 

では、中小企業ではどうかと言いますと、中小企業でベアと定昇を区分している会社はありません。「正社員の純粋なベア」を実施します、という企業は私の知りうる限り2%程度です。ベアをやりたくてもできないのです。

 

マクロの景気指標をじっくりご覧ください。消費税を除いた正味の物価も上がっていない。つまり、多くの企業が価格に転嫁できていない。したがって、実質のGDP(企業でいえば賃金原資である付加価値)も昨年より下がっている。

 

つまり、円安や株高に支えられた経団連村の会社が、政府の圧力でやっている賃金政策は中小企業にとっては別の世界の話であると断言できます。

 

しかし、中小企業にとっても一部賃金をアップする必要性があります。

 

正社員もパート社員も、中小企業では深刻な人手不足となっており、募集してもサッパリ電話がならず、応募がないのです。特に若手とパートタイマーは深刻な求人難になっています。このことから、中小企業は2つのことを実施していく必要はあります。

 

①若手(30代まで)の初任給を上げながら、若手を中心にした有能な人材を中心に是正昇給する(労働市場が売り手市場のため、有能な35歳未満の若手ほど退職しかねない)

 

②いままで年収103万円や130万円を気にして躊躇していたパート・アルバイトの賃金を思い切ってあげる(たとえば50円単位)。時給の見栄えが悪ければ応募がない。

 

アベノミクスがもくろむ、業績向上→賃上げ持続→さらなる好循環ということではなく、業績は上がっていないが、若手のパートが募集しても来ず、人手不足なので初任給を上げる、定着を促すため、不合理な賃金を見直し「是正昇給」をしているというのが実情です。若年労働力不足・パートの取り合いに中小企業も挑んでいくしかないということです。賃金はマーケットでしか調整されない証左です。

 中小企業で必要なのは、ベアではなく、必要な定期昇給です。もっといえば、「是正昇給(減給)」です。中小企業では中途入社・中途退社が一般的なのですから、「採ってみたが予想以上に良かった」「採ってはみたが期待ハズレであった」などの事情にあわせて、「是正」を行い、賃金を改定すべきだということになります。

 

賃金についていえば、中小企業にとって真の情報は新聞やマスコミ報道にはございません。

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