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福田秀樹のWEBコンサルティングその他社長のためのQ&A

Q

働き方改革で試される社長の度胸

A

日本がお手本にしようとしている、ワークライフバランスと経済成長の両立を実現させている国、それはドイツです。労働生産性が高いということで欧州の中でも一目を置かれています。

 

ドイツ人は定時でサッサと帰ります。個人主義が浸透しており、会社・上司・同僚を「忖度」することもありません。それどころか、「それは労働契約に入っていないから出来ません」「残業できないので出来ません」と堂々と仕事を断ります。日本企業がドイツに進出した際には、日本人上司は困り果ててしまうのです。

 

ドイツには過剰なサービスもありません。過剰どころか、サービスや奉仕という概念もないようです。それを顧客も理解しています。

 

その替わり、個人主義をベースに個人も会社も合理性を追求する気質・能力があります。ドイツは政治的にも聖域に踏み込み、財政再建も実現しましたし、日本の東日本大震災に教訓を得て、その3年後になんと原発の廃止を決めました。日本はこの有り様です。これが日本とドイツの極めて重要な、根本の差なのです。

 

日本の政策としてドイツ(のような国)を目指しているなら、同じような状況に近づいていくはずです。一方、日本人は忖度なしで合理性を追求する国民性ではないので、ドイツのモノマネは経済活動に影響があると考えています。よくある「花の部分だけを採って、根っこの部分をとらえないベンチマーキングの失敗」と同様です。

 

しかし、ワークライフバランス重視は確定路線です。

 

日本人は従順でまだまだ協調や奉仕の精神がありますし、労働契約の内容も曖昧ですから、社員が上司からの指揮命令を断るとは思えません。しかし、断る代わりにその会社を去る、すなわち「退職する」のです。ワークライフバランスが実現できない、仕事の内容が曖昧、評価方法が不明等の理由で退職します。

 

私たち経営者は、顧客のわがままを一生けん命応える、顧客にとって理想の会社になることを目指します。それが存続条件と考えているからです。しかし、顧客に奉仕する代償として、社員のワークライフバランスを犠牲にするなら、巡りめぐって、人の採用・定着がままならず、昭和の感覚のオジイサン・オバアサンだけの会社になり、顧客のニーズに応えることができなくなります。企業にはいつの時代でも心身ともに「若い」ことが必要なのです。

 

権利ばかりを主張する若い人に「辞めたいなら辞めればいい」「君の替わりはいくらでもいるよ」と言い切ることができる、替わりがいくらでもいる時代であれば、経営者は強気に顧客志向・顧客服従に邁進すればいいでしょう。

 

しかし、状況は一変しました。

 

労働時間の増加の原因となる仕事や顧客は、その原因を除去すべく交渉する、それでもダメならお断りすることになります。一時的に売上・利益を減らす覚悟が必要となります。これは一定の力のある企業にしかできない戦略なので、人が集まりにくい、私どものような小さな会社は働き方改革を乗り切ることは困難を極めるわけです。

 

これから社員の権利主張は極めて強く、激しいものになっていくことは間違いありません。

 

日本も定時退社とは言わずとも、少なくとも10年後は「有給消化率70%以上」「36協定遵守は絶対」の国になります。決められた時間の範囲で競争します。

 

顧客志向を維持しながら、「顧客より社員」、「仕事を捨ててでもワークライフバランス」に大きく舵をきる、すべての責任を負ったオーナー社長の度胸が試されています。その度胸の中身とは情や忖度を廃した徹底した「経済合理性」の追求なのです。

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